2012年12月04日

「ひとりモツ焼き」常連女子による『悶々ホルモン』

 立石にまつわる本って、良書だけど地味か、過去のベストセラーか、このどちらかってのが相場でした。しかし、やっと登場しました。堂々の売れ筋本、『悶々ホルモン』(佐藤和歌子著、新潮社文庫、500円)。
 著者の佐藤和歌子さん(29歳)は、「焼き肉はひとりがいちばん」と説きます。私もたぶんに同感です。だって、焼き肉こそ、自分好みの焼き加減で食べたいじゃない。



 ところで、私は元来「おひとりさま」で、ラーメン屋には小学校低学年から、寿司屋と焼き肉屋、モツ焼き屋には、22歳で就職すると同時にひとりで行き始めました。しかし、そんな私でも敷居が高かったのが「ひとりホルモン」。なぜって、他のお客さんたち(主にオヤジ)が、どことなく気を遣っているのがわかったからです。
 しかし、数年前の帰国時にハッキリと変化を感じました。モツ焼き屋にひとりで入っても、誰も私に気を止める風もなし。私がオヤジ化しただけなのか? いやいや、これは『悶々ホルモン』効果でしょう。この本のおかげで、ひとりモツ焼き&焼き肉する女が増えた、ないし、認知されたのではないか、と拝察します。

エンジン誌/ホルモン 2.jpg 私事ながら、私の半生はオヤジ・イメージとの闘いでした。自らのオヤジ的側面を、他人に見せまいと努めて生きてきた。だけど、本書を読んで認識が変わりました。今の20代ホルモンヌに較べれば、私など、オヤジの末席に名を連ねることさえ憚られます。知らないうちに、あの娘もこの娘も、私(昭和38年生まれ)を遥かに越えた真性オヤジになっていたのね。これで、人生がだいぶ楽になったよ。




 さて、『悶々ホルモン』が紹介する立石の飲食店は2軒。「宇ち多”」「江戸っ子」です。本書には、他に関西、福岡、神奈川方面におけるホルモンの名店が紹介されています。それだけでも極めて貴重なガイドブックなのですが、何より著者のホルモン好きが素直に伝わる文章で、読んでいるこちらも幸せになります。

エンジン誌/ホルモン 3.jpg ホルモンなら立石「ミツワ」浅草「金楽」、この2軒さえあればハッピーな私ですが、しかし『悶々ホルモン』を読んで、一軒だけどうしても行きたい店が出現しましたーー浅草「喜美松(きみまつ)」
 以下に一部引用。
「一品一品のレベルが異常に高い。豚のキンタマ食わせるくせに、品がよくて、敷居が低い。油断させといて、いつの間にかヤバイ世界に連れていく感じ」
 うーん、読んでいるだけで悶々する。なれど、ロサンゼルスから浅草はあまりに遠し。
 あぁ、『悶々ホルモン』、出国前に日本で読んでおくべきだった……。



posted by 柳田由紀子 at 17:00| 東京 ☀| Comment(6) | TrackBack(0) | 文芸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
那須塩原の田舎から折角、体育の日を利用して浅草泊りで行くのですから、ここは美術館で絵を観てる場合じゃ無いぞ。悶々ホルモンの柳田様の気に掛けていらっしゃる喜美松へ行かなきゃ。絵は妻に任せて。大決心。ところが日曜祝日休みでした。嗚呼ー、悶々します。これこそが悶々ホルモン。ベタで柳田様すみません。
Posted by 浅草ホルモン喜美松、無念。那須塩原の松じー at 2014年10月10日 12:35
モツに対し並み外れた、深い見識をお持ちの柳田様に、甚だ私、浅薄ではございますが、立石のお勧めのモツ焼き屋さん達を巡った後、余計なお世話とは存じますがロサンゼルスに居られて叶わない柳田様のぶん、松じーが喜美松の味をみてきます
Posted by at 2014年10月10日 23:59
モツに対し並み外れた見識をお持ちの柳田様に対して甚だ浅薄な自分ですが、ご紹介していただきました立石のモツ焼き屋さんを体験した後に、ロサンゼルスに居られる柳田様に代わって喜美松へ行ってみようと思います。楽しみが増えました、有難うございます。
Posted by 楽しみが倍に増えました、那須塩原の松じー at 2014年10月11日 00:15
追記、二重にコメントしてしまいました、消し方が解りません、手間を増やしてご迷惑おかけします。
Posted by 那須塩原の松じー at 2014年10月11日 00:24
松じーさま:
「様」はなしで、柳田さんくらいでお願いしま〜す。

 喜美松、今回は残念でしたね。
 実は、私、あれから一度行ったのです。上品なお店でした。もつ焼き屋というより小料理屋といった感じ。ただ、もつ焼き屋にしてはいささか高額です。
 印象深かったのはミノ刺し。「刺し」といっても、一般にもつ焼き屋では、一度湯がいたモツを刺身風に出すんです。でも、この店のミノ刺しはほんまもんの生でした! よほど新鮮なんでしょう、臭みもなく、まるでミル貝を食べているようなおいしさでした。
 その他のメニューを含めて写真を撮らなかったので、ブログに書けない状態で何年かが過ぎました。
 松じーさん、いずれ行かれたら撮影して写真をメールしていただけないでしょうか? ふたりのコラボで原稿を仕上げたいなあ、などと。
Posted by 柳田由紀子 at 2014年10月11日 03:03
了解しました。貝好きの柳田さんをしてミル貝の様なと言わしめるミノ刺しとは!これ如何に!!
Posted by 那須塩原の松じー at 2014年10月11日 15:00
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