この本には、東京=16カ所、関東=21カ所、関西=6カ所の元赤線地帯が、写真入りで掲載されています。写真集とはいえ、文庫版なのでハンディで、リーゾナブルな価格なのがありがたい。
その東京16カ所中のひとつとして紹介されているのが、立石北口。場所をもう少し詳しく記せば、「立石駅通り商店街北口。唐揚げで知られる『鳥房』の前にある交番裏の一帯」です。
やはり立石に赤線はあったのですね。
また、「終戦後の八月末には進駐軍向けの慰安施設(RAA)に指定され、まもなく黒人兵が出入りするようになった」とも記されています。
立石のRAA(特殊慰安施設協会、Recreation and Amusement Association)に関しては、『国策慰安婦をめぐる占領下秘史――敗者の贈り物』(ドウス昌代著、講談社、絶版)にも書かれていました。
赤線跡地を訪ねると、くねくねとした細い道が続いていて、飲み屋や民家が並ぶちょっとした迷宮。往時の面影が偲ばれます。そういう目で見るからか、隠微で艶っぽい風が流れています。
それにしても、こういう不思議で意味不明な空間って、東京では本当に少なくなったよなぁ。立石の赤線跡も、駅前再開発の対象になっていますから、このままいけば、5年以内には消えゆく運命にあります。


