2015年10月08日

私の好きな店TOP 5、第5位「鳥房」

 京成立石駅のひとつしかない改札を出ると、目の前にふたつ階段が現れます。左が北口、右が南口。どちらの出口から降りても、鼻先にぷ〜んと揚げ物の香ばしい匂いが漂ってきます。南口にあって、この匂いの主なる発生源は、精肉店「愛知屋」。そして、北口の匂いの正体は鳥専門店の「鳥房」です。

鳥房唐揚げ.jpg

 駅前商店街の北口側にある鳥房も、「宇ち多゛」「栄寿司」同様、メディアに取り上げられることの多い有名店です。また、この店は、ふたつの顔をもっています。商店街に面しているのが、鳥を専門に小売りする鶏肉屋さん。そして、ぐるりと回った裏側が、豪快な「鳥の半身を揚げた唐揚げ」がウリの小さな酒場です。
鳥房.jpg
illustration/山崎まどか

 なーんだ、単なる唐揚げか、と思わないでください。その香ばしさ、モイスチャー度、塩加減……どれをとっても、“鳥の唐揚げのあるべき姿”を、鳥房のそれは具現化しているのです。しかも、値段はたったの600円前後。前後というのは、その日に仕入れた鳥の重さによって価格が決められるからです。鳥房では、この唐揚げのことを「マル」と呼びます。だいたい毎日、大、中、小、3サイズのマルが揃います。
 揚げたての半身は、熱くてさばきづらいのですが、「初めてです」と伝えれば、おねえさんが、半紙や割り箸を使って、食べやすい大きさに分ける方法を伝授してくれます。また、食べきれなかった時は、「持ち帰りたい」と伝えれば、ビニール袋を渡してくれます。




 唐揚げの他に、鳥サラダ(写真左/ササミをさっと湯がいて、お刺身風にしたものを、キュウリや湯通ししたネギと一緒に、マヨネーズで和えたもの)、ポン刺(鳥サラダと同様に下処理した鶏肉を、薄造りにして、タカのツメやネギ入りのポン酢をかけたもの)も絶品です(ともに530円)。
鳥房 サラダ

 また、酒類を注文すると、ツキ出しとして鳥皮煮がサービスされますが、これが大変おいしい。ただし、ツキ出しは、あくまでアルコールを注文した者だけに与えられる”無償の愛”です。いつだったか、私は“超”宿酔いで鳥房に行ったことがあります(宿酔いで唐揚げ喰うか、と我ながら呆れます)。ビールを見るのも嫌だったので、ウーロン茶を注文すると同時に、「あの〜、お支払いしますから、お願いだからツキ出しを食べさせてください」と低姿勢に頼みました。しかし、答えは「不可」。「お酒注文しないとダメよ!」なんだそうです。

 鳥房は非常に混んでいます。週末は3時開店ですが、先日、3時に行ったら即満席になり、5時前には、唐揚げがすっかり売り切れてしまいました。たったの2時間の早業。昔から繁盛していたお店ですが、ここまでではなかった。立石ブームの一端です。
鳥房きょうぎ.JPG

 このように、店内で唐揚げを食すのは日々困難になっていますが、“裏技”があります。表の鶏肉屋で買って、家に持ち帰ればいいのです。確かに、揚げたてをその場で食べるに若くはないのですが、持ち帰り用は、折り目正しく経木で包んでくれますから、包装を開いた途端、木と鳥のなんともいえない香りを楽しめます。ただし、店売りも、最近では早めに売り切れてしまうようですから、あらかじめ電話で予約しておいた方が無難でしょう。

 なお、唐揚げに注目が集まり、鶏肉店サイドの影が薄くなっていますが、どっこいみなみな新鮮で素晴らしい品物です。私は、よく鳥モツを購入して、鳥モツ鍋をこさえます。
torifusalowlow.jpg

 最後に、ひとつ気になることを。
 鳥房は以前からけっこうルールに厳しく、たとえば、靴の脱ぎ場所、コートやカバンの置き位置、注文のし方他、いくつかの掟があります。広くはない店舗に、多くの客がつめかけるのですから致し方ありません。しかし、最近は、おねえさんたちがそのルールを伝える様が、いささかエラすぎるように思えてならないのです。そのため、店内に過度のテンションが張りつめているような……。誰だって、緊張して唐揚げを食べたかぁないヨネ。
 とはいえ、そんな不満を抱えながらも、ついつい我慢できずに寄ってしまうーー“鳥房力”はそれほど強度です。

□ 「鳥房
住所:〒124-0013 東京都葛飾区立石7-1-3
電話:03-3697-7025
営業:平日16:00〜21:00、
土日15:00〜20:30。火曜定休
メニュー:鳥サラダ、ポン刺し、鳥わさ、鳥ぬた=¥530
鳥の半身揚げ(マル)=¥600前後
ビール(大瓶)=¥560、生冷酒、ワイン=¥650




追記:この秋、久しぶりに鳥房に行きました。お店の対応が最低でした。えばりちらしていて、すんでのところでキレそうになりました。私はもう行かないと思います。店売りのお土産を買って平和な宵を送ります。(2015/10/08)





posted by 柳田由紀子 at 20:19| 東京 🌁| Comment(10) | TrackBack(0) | 飲食店 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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